広島大学 川口広美研究室・愛媛大学 井上昌善研究室 合同ゼミ
2026年9月5日(土)に、広島大学・川口広美研究室と愛媛大学・井上昌善研究室による合同ゼミが実施されました。各大学の研究発表や実践報告を受け、学生同士で議論を行ないました。また、先生方から研究に対するお考えを伺いました。詳しい内容は以下の通りです。
活動内容① 学部生による発表
愛媛大学4回生の宮﨑明野は、「「当事者性」の涵養を目指す小学校論争問題学習-「感情」から「価値」の変容に着目して-」という題目で研究構想を発表しました。論争問題学習における子どもの当事者性の涵養について、「感情」と「価値」に着目し、トゥールミン図を活用して、「感情」と「価値」を再定義し、それらの変容プロセスを示しました。この発表を受けて、当事者性を高めるための社会問題との出会わせ方や「当事者」に関わる理解について、議論が深まりました。

広島大学4回生の宮﨑颯太さんからは、「議論支配を乗り越えた者愛か授業のための原理の考察-Yahoo!ニュースのコメント欄を活用して-」という題目で研究発表が行なわれました。宮﨑さんは、論争問題学習におけるリヴォイシングの限界性について取り上げ、互恵的で協同的な教室風土を整備するために、Yahoo!ニュースを活用する授業開発を提案されました。この発表を受けて、Yahoo!ニュースにおける非匿名性も考慮し、論争問題学習における議論支配がおこる原因について、より深く考察することが重要であると議論が広がりました。
活動内容② 院生による発表
愛媛大学4回生の森田諒、教職大学院1年の大石有美香から、「子どもの社会参加を促す教育プログラムの開発」という題目で、実践報告を行ないました。西条市立中川小学校での交通安全教室について、具体的に説明するとともに、その成果についてまとめました。この発表を受けて、今後どのように実践を広げるのか、多様な人との関係をつくる難しさについて、実践を通して気づいたことはあるかというような質問をいただきました。また、Lundyモデルをご紹介いただき、この実践をもう一度整理することで、シティズンシップ教育としての意味と課題が明確になるのではないかとの意見もいただきました。

広島大学大学院2年の井戸浩太さんからは、「高校歴史授業においてナショナリズムはいかに表象されるのか-教室空間における教師と生徒の相互作用に着目して-」という題目で、研究発表が行なわれました。井戸さんは、国家・国民というナショナルな枠組みが意味づけられる過程としての歴史授業に着目し、その表象プロセスを明らかにする研究をされていました。日本史探究の授業観察を行ない、ナショナリズムが自明視される場面もあれば、構築性が吟味される場面もあったとの結果が示されました。この発表を受けて、世界とのつながりが意識される授業において、外国から見た日本のナショナリズムをいかに考えるかについて議論が広がりました。
活動内容③ 先生方からの研究発表・交流
井上先生からは、リサーチクエスチョン(RQ)とは研究の意義であり、先行研究の考察を踏まえたRQの再設定が重要であると学びました。また、自分の考えを構築するには、考えの軸をもつことが必要であるというお話も印象的でした。
川口先生からは、川口先生の研究関心について伺いました。特に「やる気=善」への葛藤から、教師を取り巻く生態系を理解することが必要なのではないかというお考えが印象的でした。また、学校教育・社会科教育を相対化し、社会科だけではなく、いろいろな学問を循環することで、より広く深い知見が得られると学びました。
先生方の研究に対するお考えや姿勢を伺うことで、今後の研究に対する意欲が高まりました。

広島大学との交流を通して、大変刺激を受け、普段関わりの少ない他大学との交流の意義を改めて感じることができました。今回の交流会での学びを、今後の研究や教育実践に生かしていきます。広島大学の皆さん、参加者の皆様、ありがとうございました。
発表者の感想
広島大学での「『民主的社会をつくるシティズンシップ教育』を読む-学校はシティズンシップ教育の中で何ができるか- EVRI定例オンラインセミナー講演会 No.202」及び「広島大学 川口広美研究室・愛媛大学 井上昌善研究室 合同ゼミ」にて、発表した三名の学生の感想は以下の通りです。
2日間ありがとうございました。シティズンシップ教育とは、よりよい社会をつくる教育であると捉えたとき、すべての教育がシティズンシップ教育になり得ると感じました。つまり、シティズンシップ教育とは何かを考えることが、教育とは何かを考える問いとなりうると考えます。発表にあたって、自身の教育観について見直すきっかけともなり、貴重な経験をさせていただいた感謝でいっぱいです。また、様々な方々と関わり、私の未熟さを改めて感じました。今回の学びを、今後の成長の糧とできるよう、日々精進していきます。企画・運営から携わったり、先生方の前で発表したりする機会をいただき、私にとって自信になる経験でした。関係者の皆様ありがとうございました。(大石有美香)
定例オンラインセミナー講演会への参加と、その後の卒業論文構想発表や合同ゼミにおける質疑応答を通じて、先生方や他大学の学生の皆さんと考えを共有し、多くの新たな知見と今後の研究への重要な示唆を得ることができました。
まず、EVRI主催の定例オンラインセミナー講演会「『民主的社会をつくるシティズンシップ教育』を読む」に参加し、子どもを将来の準備段階としてではなく現在の「社会をつくる主体」として捉える視点や、個人の関心をいかに公共的な課題へとつなげるかという議論に触れました。執筆者の先生方からは、唯一の授業モデルを追究するのではなく教師自身が社会観を自覚して授業を構想することの大切さや、失敗しながら学べる「練習としての参加」を保障する視点などが示され、学校教育におけるシティズンシップ教育の可能性について思考を深める大きなきっかけとなりました。
こうしたセミナーでの学びや視点を踏まえて臨んだ卒業論文構想発表では、「当事者性」の涵養を目指す小学校論争問題学習において、直感的な感情から公的な価値判断への変容プロセスを提示しました。発表後の意見交換では、情動論的転回に関するご指摘を受け、多くの有意義なフィードバックをいただいたことで、「感情」を単に克服すべき未熟なものとして切り捨てるのではなく、社会問題へ向かう大切な入口や共通善(コモングッド)を考える契機として捉え直す重要性に気づかされました。また、「当事者とともに」問題に向き合う姿勢の不可欠さを認識したほか、「涵養する」の主体や子ども自身が議論の意義をどう見出すかといった課題に対しても具体的な手掛かりを得ることができました。
オンラインセミナーから卒論構想発表に至る一連のゼミ活動を通じて、多様な立場や背景を持つ人々をいかに包摂し、互いの弱さや失敗を抱えながらともに学べる場を作っていくかという重要な学びを得ることができました。ここで得られた新たな知見と示唆を糧とし、今後の授業開発および実践的検証に向けて自身の研究内容をさらに深めていきたいと考えています。(宮﨑明野)
今回の広島大学との交流会で行った【『民主的社会をつくるシティズンシップ教育』を読む―学校はシティズンシップ教育の中で何ができるのか― 定例オンラインセミナー講演会No.202】では、企画・運営に携わらせていただき、大きな学びを得ることができました。セミナーの企画・運営をすることは初めての経験であり、広島大学の学生さんと協力してより良いセミナーにするためにミーティングを重ねるなどし、しっかりとした準備ができました。セミナーでは学生のリスポンスに対して、ゲストの先生方にお答えいただき、学校教育の中でのシティズンシップ教育の捉え方やどのように実践していくべきかなど、改めてシティズンシップという言葉を問い直す活発な議論ができたと感じました。これからもシティズンシップ教育について考え続け、子どもたちのより良い学びに繋げていくとともに、セミナーの企画・運営などにも携わり続けていきたいと思います!
広島大学 川口広美研究室 愛媛大学 井上昌善研究室で合同ゼミでは、各大学の研究発表や実践報告から、学生同士で議論をし、多くの人と研究について話すことはとても面白いと改めて感じました。自分自身の研究に繋げていくとともに、昨年度から実施している交通安全教育を研究的に捉えることと、今年の実践をより良くするために取り組んでいきたいと感じました。また、先生方の研究に対する考え方を伺うことができ、研究に対する意欲が高まりました。後期には多くの実践や卒業研究などが控えています。大学の垣根を越えて、ともに学んでいきたいと思います!このような機会を提供してくださった先生方、ありがとうございました!(森田諒)

2日間を通して、多くのことを学ばせていただきました。また、考えの違う人との交流は、知見の広がりと深まりをもたらすものだと改めて実感しました。セミナーにおいては、企画・運営から携わらせていただき、貴重な経験となりました。今後も、大学や立場の垣根を越えて、学びを深めていきたいです。
広島大学をはじめとした関係者の皆様、ご多用の中、貴重な経験をいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。(報告者:大石有美香)
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