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第22回愛媛社会科・主権者教育研究会成果報告

2026年3月7日に第22回愛媛社会科・主権者教育研究会が愛媛大学教育学部にて開催されました。今回は、愛媛大学教育学部附属小学校の品川崇先生と山下拓也先生より『社会とのつながりを重視した社会科授業づくり』について、愛媛大学教育学部附属中学校の江角紀行先生と高橋祐貴先生より『概念型探究の考え方に基づく社会科授業づくり』についてお話していただきました。報告を踏まえて、東京学芸大学教授、川﨑誠司先生からお話していただきました。その上で、資質・能力育成につながる授業づくりの視点や方法、授業改善の方向性や工夫などについて意見交換を行いました。

(全体の様子)

まず、山下先生より、地域を題材とした社会科授業実践についての報告が行われました。情報をテーマとした学習は、道後温泉や商店街など地域の具体的な事例を取り上げながら、観光と情報の関わりについて考える授業構成を紹介していただきました。子どもたちが様々な視点から情報の活用について考え、社会・地域を捉え直し、アンケート調査や聞き取り調査を通して地域の魅力や課題を考える学習の重要性が指摘されました。また、観光に関する情報の発信や利用の在り方について、個人の利益と全体の利益の関係などの視点から議論することの意義が共有されました。

(山下先生ご発表の様子)

次に、品川先生より、戦争や平和を扱う教材の語りや継承についての報告が行われました。戦争体験や歴史資料を扱う際には、事実の理解だけでなく、当時の人々の思いや願い、状況に目を向けることの重要性が指摘されました。また、継承の現状やややこしさについて考えることによって、子どもたちが歴史を自分事として捉えることができる授業づくりの工夫について学ぶことができました。

(品川先生ご発表の様子)

江角先生より、概念学習を重視した社会科授業の構成についての報告も行われました。具体的な事例をもとに比較や整理を行いながら、社会的事象の背後にある概念を理解していく学習過程の重要性が指摘されました。授業では、複数の事例を比較することにより共通点や相違点を見出し、それをもとに概念化・一般化を図ることが有効であることが共有されました。

(江角先生)

また、高橋先生より、概念型探究学習の個別最適な学びについての報告を行われました。「公正」などの価値概念を扱う授業についても議論が行われました。身近な事例や体験的活動を通して子どもたち自身で考える機会を設けることで、概念の理解が深まる可能性が示されました。

(高橋先生)

4人の先生方の報告後には、川﨑先生よりそれぞれの先生の実践報告についてコメントをして頂きました。

意見交換では、概念理解を共通認識させるための工夫や振り返りについての意義や工夫といった点について活発な意見交換が行われました。授業の中では、ペアやグループでの対話を通して多様な考えを共有しながら学びを深めることの重要性が指摘されました。さらに、授業後の振り返りやOPPAシートなどを活用し、子どもたち自身が学びの変化や成長を自覚できるようにすることの重要性についても共有されました。

(意見交換の様子)

今回の研究会では、社会科授業における社会・地域教材とのつながりや概念学習の在り方、価値概念を扱う授業の工夫などについて多くの示唆を得ることができました。今後も社会科教育及び主権者教育の充実に向けて、理論と実践を往還しながら深めていくことが重要だと感じました。

忙しい中、参加して頂いた先生方本当にありがとうございました。関係者の皆様、ありがとうございました。